○まめ知識
・牛の種類
日本で飼育されている牛は大きく分けて肉用種と乳用種に分かれます。
肉用種は、牛肉を専門に提供する家畜で日本では4種類の専用種が飼育されていますが、いずれも外国種を交配して固定した品種です。
また、日本固有の在来種も地域限定でいます。
乳用種は生乳を生産する牛で主な品種は5種類です。
生乳生産に問題が発生すると肉用に転用されます。
また、乳用種の雄牛は改良の目的で種雄牛として残す場合を除き、肉用として飼育されます。
<乳用種>
品 種 名 | 摘 要 | |
ホルスタイン種 | ・オランダからドイツのホルスタイン地方原産 ・明治時代から輸入されていて日本で飼育されている乳牛の99%を占める ・乳量は年間平均8,000Kg(中には20,000Kgを超えるスーパーカウがいる) |
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ジャージー種 | ・イギリス海峡のジャージー島原産 ・日本で8、000頭が飼育され2番目に多い乳牛(岡山県の蒜山では2、000頭飼育) ・乳脂肪率が5%と高く、バター原材料として最適 |
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エアーシャー種 | ・イギリスのスコットランド地方原産 ・明治11年に札幌に導入されるが乳量がホルスタインより低く、定着せず ・乳量は年間4,500Kgで、乳蛋白率が3.4%と高くチーズ原材料として適している |
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ガーンジー種 | ・イギリス海峡のガーンジー島原産 ・体型はジャージーと似ているがやや大柄で、性格はおとなしい ・日本での飼育はほんの一部 |
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ブラウンスイス種 | ・スイス原産でアメリカで乳専用種に改良 ・第二次世界大戦後、アメリカから輸入 ・乳蛋白率が高く、チーズ原材料として最適で、頭数は増加傾向 |
資料参照:酪農学園大学乳牛研究会など
<肉専用和種>
品 種 名 | 摘 要 | |
黒毛和種 | ・外国種のシンメンタール、エアシャー、ブラウンスイス等を交配し固定した品種 ・昭和19年に日本固有種として認定 ・飼養頭数が一番多く、全国で90%が飼育されている |
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褐毛和種 | ・熊本、高知の赤牛にシンメンタール、朝鮮牛を交配し改良した品種 ・昭和19年に日本固有種として認定 ・熊本、高知、東北、北海道で飼育され黒毛和種に次いで当ウ数が多い |
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日本短角種 | ・東北地方原産の南部牛にショートホーンを交配して改良した品種 ・昭和32年に日本固有種として認定 ・岩手、青森、秋田が主産地 |
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無角和種 | ・山口県原産の在来種にアバディンアンガスを交配して固定した品種 ・昭和19年に日本固有種として認定 ・現在200頭程度が山口県で飼育されている |
資料参照:全国肉用牛振興基金協会
<在来和種>
摘 要 | ||
口之島牛 | ・鹿児島県トカラ列島の口之島で野生化した牛 ・1990年に名古屋大学でオス1頭、メス3頭を捕獲 ・同大学で繁殖によりオス23頭、メス22頭を生産(2004年まで) |
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見島牛 | ・山口県の見島でメス85頭、オス14頭が飼養されている(平成18年) ・1928年に国の天然記念物に指定 ・小柄な牛(オス:体重488Kg、体高130cm メス:体重257kg、体高113cm |
資料参照:全国肉用牛振興基金協会、名古屋大学設楽フィールド
・牛乳の種類
スーパーマッケット等で見かける牛乳には多くの種類があります。牛乳と表示されているものにも、メーカーなどにより、数種類が販売
されていますが、基本的には乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)により表のとおり分類されています。
種類別 | 摘 要 | 成分規格 | 衛生基準 | ||
乳脂肪分 | 無脂乳固形分 | 細菌数 | 大腸菌群 | ||
牛乳 | 生乳を加熱処理 水、添加物不混和 成分不除去(無調整) |
3.0%以上 | 8.0%以上 | 1ml中 5万以下 |
陰性 |
特別牛乳 | 特別牛乳搾取処理業 の許可施設で絞った 生乳を処理し製造 |
3.3%以上 | 8.5%以上 | 1ml中 3万以下 |
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成分調整牛乳 | 生乳から水分、乳脂肪 ミネラル等一部除去し 成分を調整 |
- | 8.0%以上 | 1ml中 5万以下 |
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低脂肪牛乳 | 生乳から乳脂肪を除去 水、添加物不混和 |
0.5%以上 1.5%以下 |
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無脂肪牛乳 | 生乳から乳脂肪をほとんど 除去 |
0.5%未満 | |||
加工乳 | 生乳に脱脂乳、脱脂粉乳 濃縮乳、クリーム等の 乳製品を加えたもの |
- | |||
乳飲料 | ミネラル、コーヒー、果汁 等を加えたものや乳糖を 分解したもの |
乳固形分3.0%以上 | 1ml中 3万以下 |
資料参照:全国乳業協同組合連合会、乳及び乳製品の成分規格に関する省令
・発酵乳(ヨーグルト)の種類
牛乳と同様に店頭にはさまざまなヨーグルトが並んでいますが、ヨーグルトの種類はシンプルで、3種類に分かれます。
最近は、機能性をアピールしたヨーグルトをメーカー各社が競って製造しており、さまざまな銘柄が並ぶようになりました。
種 類 別 | 摘 要 |
食べるヨーグルト | プレーンヨーグルト(牛乳を乳酸菌で発酵)、フルーツを加えたものあり |
飲むヨーグルト | 発酵後、固まったヨーグルトを撹拌して液状にしたもの |
フローズンヨーグルト | 発酵したヨーグルトを撹拌しながら空気を混入し凍結したもの |
機能性ヨーグルトとは ・病気の予防や健康維持などの特定の「機能」を目的としたもの (例) ・ビフィズス菌で中性脂肪を減らす ・プロピオン酸菌で便秘を解消する ・乳酸菌でインフルエンザを予防する ・健康増進を主目的とし、乳酸菌以外にさまざまな酵母菌を入れたもの (例) ・成長作用のあるブルガリア菌 ・悪玉菌を減らすカルピス菌 ・便秘を解消するクレモリス菌 ・長寿に役立つビフィズス菌 ・風邪に効くフェカリス菌 |
資料参照:全国発酵乳乳酸菌飲料協会など
・チーズの種類
チーズは古くから全世界で作られており、多くの種類がありますが、大きく分けてナチュラルチーズとプロセスチーズに分かれます。
日本では、熟成を止めて味や風味を安定させたプロセスチーズが主流となっていますが、近年では酪農家の六次産業化が進んできて
ナチュラルチーズのシェアが拡大しつつあります。
種 類 | 硬 さ | タイプ | 熟成方法 | 特 徴 | 代 表 例 |
ナチュラル チーズ |
軟質 | フレッシュ | 非熟成 | 乳に酸、酵素を加えて凝固 熟成させないチーズ |
リコッタ モッツァレラ等 |
白カビ | カビ熟成 | 白カビを表面に繁殖させ熟成 | カマンベール バラカ等 |
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ウォッシュ | 表面洗浄 乳酸菌熟成 |
表皮を塩水や酒で洗いながら熟成 チーズ表皮の特殊な菌で熟成、臭いが強烈 |
マンスティール リヴァロ等 |
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シェーブル | カビ熟成 乳酸菌熟成 |
山羊乳で作るチーズの総称 フレッシュからハードまである 熟成が進むと香り、味が濃厚 |
ピラミッド サント・モール等 |
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半硬質 | 青カビ | カビ熟成 | 青カビをカードに混ぜ熟成 独特の青カビの風味 |
ロックフォール ゴルゴンゾーラ等 |
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セミハード | 乳酸菌熟成 | 比較的硬く、保存がきくタイプ もっとも種類が多く、マイルド |
ゴーダ ラクレット等 |
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硬質 | ハード | 乳酸菌熟成 | 圧搾して水分を抜き、長期熟成 深い味わいとコクがある |
エメンタール チェダー等 |
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超硬質 | 乳酸菌熟成 | 1~2年以上熟成、最も硬い 熟成が長いものほど風味が豊かになる |
バルミジャーノ・レッジャーノ ロマノ等 |
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プロセスチーズ | 1種又は数種のナチュラルチーズを粉砕、加熱融解、乳化後 整形して 包装したもの |
スライスチーズ さけるチーズ等 |
資料参照:日本乳業協会、Wikipediaなど
・牛乳の殺菌方法
区分 | 殺 菌 方 法 | 温度(℃) | 時 間 | |
殺菌 | 低温 | 低温保持殺菌(LTLT) | 63~65 | 30分 |
連続式低温殺菌(LTLT) | 65~68 | 30分以上 | ||
高温 | 高温保持殺菌(HTLT) | 75以上 | 15分以上 | |
高温短時間殺菌(HTST) | 72以上 | 15秒以上 | ||
超高温 | 超高温瞬間殺菌(UHT) | 120~130 | 1~3秒 | |
滅菌 | 超高温 | 超高温滅菌殺菌(LL) | 135~150 | 1~4秒 |
資料参照:全国乳業協同組合連合会、Wikipedia
お断り:牧草・とうもろこしの収穫作業体系については、資料室に移動しました。